山莊獨賦

朝聽檐滴和啼鳥
夕見窗風閃落花
草賦何須湖上飲
雨奇晴好在吾家

2019年4月

押韻

下平声六麻韻:花・家(対句のため起句は踏み落とし)

訓読

山荘に独り賦す

朝に聴く 檐滴の啼鳥に和するを
夕べに見る 窓風の落花を閃かすを
草賦 何ぞ須ひん 湖上の飲
雨奇晴好は吾が家に在り

檐滴:のきの雨だれ
草賦:詩賦を作る。陸游《晩秋野興》「一生眼境常如此 草賦憑誰問大鈞」
湖上飲・雨奇晴好:蘇軾《飲湖上初晴後雨》「水光瀲灎晴方好 山色空濛雨亦奇 欲把西湖比西子 淡粧濃抹總相宜」

山荘でひとり詩を作る

朝には軒の雨だれの音が鳥のさえずりに調子を合わせて鳴るのを聞き
夕方には窓に吹く風が落花をひらめかせているのを見る
詩を作るのにどうして湖に船を浮かべて酒を飲む必要があるだろうか
蘇東坡がいう「晴好雨奇」がこの我が家にあるのだから

補足

山荘の晩春のイメージから、起承の対句ができたので、これを転結でこれを活かすために、起句の雨・承句の晴れから思いついた蘇東坡の「晴好雨奇」をいじってまとめました。