看河鍋曉齋畫【2019.04】(河鍋暁斎の画を看る)
看河鍋曉齋畫
縦横奇想彩毫飄
怪力亂神無不描
休道醉人遊戲業
畫龍方欲舞天飆
2019年4月
押韻
飄・描・飆:下平声二蕭韻
訓読
河鍋暁斎の画を看る
縦横なる奇想 彩毫 飄り
怪力乱神 描かざるは無し
道ふを休めよ 酔人 遊戯の業と
画龍 方に天飆に舞はんと欲す
注
河鍋曉齋:1831~1889。幕末から明治にかけて活躍した画家。七歳で浮世絵師歌川国芳に、十歳で狩野派絵師前村洞和に入門して絵を学んだ。幅広い画題を多様な表現方法・場で描き、その作品は屏風絵、掛軸、錦絵、挿絵、絵馬、引き幕など多岐にわたる。もともと「猩々狂斎」と名乗って錦絵を描いていたが、明治政府高官を揶揄したとして投獄、笞打ちの刑を受けて後、画号を「暁斎」と改めたが、読みはそのままにしたため「暁斎」は「きょうさい」と読む。生前には国内のみならず海外でも高い人気を得ていたが、没後、次第に忘れ去られた存在となっていた。1990年代頃から再評価が進み、近年は展覧会も多く開かれている。兵庫県立美術館では「没後130年河鍋暁斎」展を開催(2019.4.6~5.19)。
彩毫:画筆。彩筆に同じ。
怪力亂神:怪異のこと、暴力のこと、道を乱すこと、鬼神のこと。《論語・述而》「子不語怪力亂神」。暁斎は、花鳥、美女から観音、地獄絵、骸骨、幽霊、死体までありとあらゆる対象を描いた。
醉人:自伝『暁斎画談』に描かれる誇張された逸話から、暁斎には「酒浸りの奇人」のイメージがついてまわる。家族の証言によれば、酒好きは事実だったが、それ以上に絵に対してはストイックであったという。今回公開された膨大な量の下絵や写生がこの証言を裏付ける。
方欲:今まさに~しようとしている、今にも~しそうである。
訳
河鍋暁斎の絵を鑑賞する
縦横無尽の奇想をもとに絵筆を走らせ
孔子が語らなかったという怪力乱神のことを含めて描かなかったものはない
酔っぱらいの悪ふざけだなどと言うのはやめよ
その描いた龍は今まさにつむじ風を起こして舞い出しそうではないか
補足
兵庫県立美術館で河鍋暁斎展を鑑賞して感銘を受けたので作った詩です。河鍋暁斎のことは、遥か昔にNHKの日曜美術館だか何だかで取り上げられたのを見て知ってはいたのですが、実物の作品を見るのは初めてで、その迫力に興奮しました。
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