奉祝踐祚

六十餘州瑞氣盈
九重宮闕綵雲生
兆民齋喜皇基定
萬歳聲酬萬歳聲

2019年5月

押韻

盈・生・聲:下平声八庚韻

訓読

践祚を祝ひ奉る

六十余州 瑞気 盈ち
九重の宮闕 綵雲 生ず
兆民 斉しく喜ぶ 皇基 定まるを
万歳の声は酬ゆ 万歳の声

践祚:先帝の崩御あるいは譲位によって天皇の位を受け継ぐこと。践祚ののち、適切な時期に即位礼を挙行して皇位についたことを内外に宣言することで「即位」となる。古来、践祚と即位は区別され、旧皇室典範もこの区別を引き継いでいたが、現行皇室典範では両者の区別はなくなった。したがって法令上は、今回5月1日をもって今上陛下は「即位」されたことになるが、本来の言葉の意味に忠実に従えば、5月1日は践祚であり、来たる10月22日(祝)に即位するというのが正しい。
六十餘州:日本全国。古来、「ひのもと六十余州」と言いならわしている。
盈:みちる。みちあふれる。
九重:天子の宮殿、またその形容。王城は門を九重に作ったことからいう。
宮闕:宮城の門。転じて宮城そのもの。皇居。
綵雲:美しいいろどりの雲。五色のめでたい雲。
兆民:多くの民。万民。
皇基:天子が天下を治める事業の基礎。ここでは皇室と国家繁栄の基礎くらいの意味。

践祚をお祝い申し上げる

日本全国にめでたい気がみちあふれ
皇居からは五色の美しい雲がたちのぼる
万民こぞって皇室と国家繁栄の基礎が定まったことを喜び
万歳の声でもって万歳の声にこたえるのだ

補足

こういう題材の詩ですから、予定調和気味になるのはやむを得ません。結句のレトリックで少し個性を出した感じです。このくらいがちょうどいいと思います。この手の詩で個性をごりごり押し出そうとすると、奉祝にふさわしくないみっともない詩になる可能性が高いでしょう。