賞菊

傲霜疊蕊白欺玉
映日繁葩黄勝金
遮莫忘言詩不就
悠然知得見山心

2020年10月

押韻

下平声十二侵韻:金・心(対句のため起句は踏み落とし)

訓読

菊を賞す

霜に傲る畳蕊の白は玉を欺き
日に映ずる繁葩の黄は金に勝る
さもあらばあれ 言を忘れて 詩 就らざるも
悠然 知り得たり 山を見るの心

忘言・悠然・見山:陶淵明《飲酒詩》「采菊東籬下 悠然見南山 山氣日夕佳 飛鳥相與還 此中有眞意 欲辨已忘言」 

菊の花をめでる

霜に耐えて重なり咲く花の白色は玉かと見まがい
日に照り映えてしげり咲く花の黄色は黄金より美しい
あまりの素晴らしさに言葉を忘れて詩が作れなくてもかまいはしない
陶淵明が言うところの、悠然と山を見る心を知ることができたのだから

補足

春風吟社11月提出の題詠です。菊といえば陶淵明というわけで、後半は陶淵明の境地でごまかしました。起承は白菊と黄菊で対句にしましたが、合掌対気味になってしまったかもしれません。