月下閑歩

正是中秋淸絶辰
蟲聲搖草露光新
平生憂國慨時士
暫作吟風弄月人

2020年9月

押韻

上平声真韻:辰・新・人

訓読

月下閑歩

正に是れ 中秋 清絶の辰
虫声 草を揺らして 露光 新たなり
平生 憂国慨時の士も
暫し吟風弄月の人と作る

淸絶:この上なく清らか
憂國慨時:国を憂え、時世を嘆く。
吟風弄月:風に吟じ月を弄ぶ。自然の美しさを愛で風流韻事を楽しむ。

月の下をのんびり歩く

今はちょうど中秋のこの上なく清らかな時節
虫の音が草を揺らし、降りたばかりの露が輝いている
普段は硬派な憂国慨時の士を任じていても
今夜ばかりはしばし風流に身をゆだね吟風弄月の人となるのだ

補足

春風吟社10月提出の題詠です。転結が洒落た感じに作れたので、あとは起承を転結につながるようにまとめましたが、承句がやや平凡に堕したきらいはあります。