幽窗獨吟

春盡夏來山色深
閑開窗牖散憂襟
見無花朶語無友
唯有風篁和醉吟

2020年5月

押韻

下平声十二侵韻:深・襟・吟

訓読

幽窓独吟

春尽き夏来たりて 山色 深し
閑かに窓牖を開きて 憂襟を散ず
見るに花朶無く 語るに友無く
唯だ風篁の酔吟に和する有り

窓牖:まど。
憂襟:憂いに沈む胸のうち
花朶:花咲く枝
風篁:風に吹かれる竹林

しずかな窓辺でひとり詩を吟じる

春が終わり夏が来て山の緑も濃くなってきた
しずかに窓を開いて胸のうちの憂いを晴らそうとする
見るべき花もなく、ともに語るべき友もいないが
ただ風に吹かれる竹林だけは、酔って詩を吟じる私の声に合わせて鳴ってくれている

補足

春風吟社の6月提出の題詠です。派手なレトリックも機知も使わず、あっさり味で無難に仕上げました。