秋窗雨夜

淅瀝忍聽檐滴聲
殘蛩斷續更傷情
孤鰥懷抱無由託
空對暗窗眠未成

2019年9月

押韻

下平声八庚韻:聲・情・成

訓読

秋窓雨夜

淅瀝として 聴くに忍びんや 檐滴の声
残蛩 断続して 更に情を傷ましむ
孤鰥の懐抱 託すに由無く
空しく暗窓に対して 眠 未だ成らず

淅瀝:あわれにさびしい様子の形容。風や雨、落葉などに用いる。
:たえる、がまんする。しばしば忍一字のみで反語になる。
檐滴:軒の雨だれ
孤鰥:孤独なおとこやもめ。「鰥」は成人して妻のない男性。未婚の場合にも妻に先立たれた場合にも用いる。
懷抱:胸の中にいだく思い。

秋の窓に雨のふりそそぐ夜

ぽたぽたと寂しく響く雨だれの音は聞くにたえない
少なくなったコオロギが途切れ途切れに鳴く声がさらに気持ちを落ち込ませる
孤独な独り身の心中の思いを誰かに伝えるすべはなく
むなしく暗い窓に向かったまま、まだ眠れずにいる

補足

春風吟社10月提出の題詠です。題が暗いので内容も暗いのは仕方ありません。