自人類初到月經五十年有感【2019.07】(人類の初めて月に到りてより五十年を経て感有り)
自人類初到月經五十年有感
欽羨鴻功竹帛埀
後人空仰九天涯
何當飛破億千里
圓月中央建旭旗
2019年7月
押韻
埀・涯・旗:上平韻四支韻
訓読
人類の初めて月に到りてより五十年を経て感有り
欽羨す 鴻功の竹帛に垂るるを
後人 空しく仰ぐ 九天の涯
何か当に億千里を飛破して
円月の中央 旭旗を建つべき
注
人類初到月:1969年7月21日(日本時間)、アポロ11号が月面に着陸し、ニール・A・アームストロングとエドウィン・E・オルドリンJr. が人類で初めて月面上を歩いた。
欽羨:うやまい、うらやむ。
竹帛埀:歴史に残る。「竹帛」は竹簡と絹布で、紙の発明以前はそれらに文字を書いたことから、書物、さらに、歴史書を指す。
後人:後の世の人。1972年のアポロ17号を最後に、有人月面着陸は行われていない。
九天:天のもっとも高いところ。高い空。九重の天に同じ。
何當:「いつかまさに~すべき」と読み、「いつか~したいものだ」の意味をあらわす
飛破:「破」は動詞の後ろについて意味を強調する助字。
旭旗:日の丸の旗。
訳
人類が初めて月に到達してから50年、感じることがあって作る
偉大な功績を歴史に残したことを敬い、羨ましく思う
後の人々は月へ行くことはかなわず空しく大空の果てを仰ぎ見るばかりだ
いつの日にか遥かなる距離を飛び越えて
まるい月のど真ん中に日の丸の旗を立てたいものだ
補足
7月に人類初の月面着陸から50年を迎え、ディスカバリーチャンネルで特集番組が放送されていたので、感化されて詩を作ってみました。
結句で、「旭旗を建てん」と勇ましいことを言っていますが、正直なところ、今後の日本に単独で有人月面着陸をおこなう余力などないことは僕にもわかっています。ただ、小さな探査機を送って、その探査機を使って月面に日の丸を立てることくらいはできるのではないでしょうか。大掛かりに人間を送り込むより、そっちのほうが日本らしいやり方のような気もします。
なお転結は、長尾秋水の《松前城下作》の転結「從此五千三百里 北辰直下建銅標」へのオマージュでもあります。
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