秋郊所見

滿村黃稲映天明
枝上柿紅群雀爭
渠畔田家人不見
寂然唯聽水車鳴

2018年9月

押韻

下平声八庚韻:明・爭・鳴

訓読

秋郊所見

満村の黄稲 天に映じて明らかに
枝上の柿 紅くして 群雀 争ふ
渠畔の田家 人 見えず
寂然として唯だ聴く 水車の鳴るを

渠:みぞ。小川。
田家:いなかの家。農家。
寂然:ひっそりとして静かなさま

秋の野で見た景色

村いっぱいに黄色く実った稲が青空と照り映えて明るく
枝に実った赤い柿をスズメの群れが争ってついばんでいる
小川沿いの農家に人は見当たらず
ひっそり静かな中、聞こえてくるのは水車が回る音だけだ

補足

春風吟社10月提出の題詠です。典故や派手なレトリックは使わず、地味な仕上がりになっていますが、平明な言葉で情景を丁寧に描けたので、僕としては満足できる詩です。