新秋夜涼

午熱俄收露欲凝
孤蛩鳴處氣偏澄
新涼一滴人間潤
堪數星辰待月昇

2018年8月

押韻

下平声十蒸韻:凝・澄・昇

訓読

新秋夜涼

午熱 俄かに収まりて 露 凝らんと欲し
孤蛩 鳴く処 気 偏へに澄む
新涼一滴 人間 潤ひ
星辰を数へて 月の昇るを待つに堪へたり

凝:かたまる、凝縮する
新涼一滴人間潤:釈宋泐《暑夜》「天河只在南樓上 不借人間一滴涼」
堪:~するのに十分である、~することができる

新秋の夜の涼しさ

昼間の残暑もにわかにおさまって、露の降りそうな気配
コオロギが一匹鳴いているあたりは特に空気が澄んでいる
一滴の新涼で地上はすっかり潤ったので
星を数えながら月が上るのを待つことができる

補足

春風吟社9月提出の題詠です。転句は有名な「人間に借さず 一滴の涼」を逆にしてみました。