倚松庵【2018.08】
倚松庵
松樹依然庭際蟠
往時細雪莫由看
晩鐘微響知何寺
文士應曾倚此欄
2018年8月
押韻
上平声十四寒韻:蟠・看・欄
訓読
倚松庵
松樹 依然として 庭際に蟠るも
往時の細雪 看るに由莫し
晩鐘 微かに響くは 知んぬ何れの寺ぞ
文士 応に曽て此の欄に倚りたるべし
注
倚松庵:谷崎潤一郎旧居(1936年11月~43年11月まで居住)。神戸市東灘区にある。谷崎の代表作『細雪』の舞台となった。もともと住吉川べりにあったが、六甲ライナーの橋脚建設に伴い、1990年、現在地に移設された。
文士:谷崎潤一郎のこと
訳
倚松庵
松の木は依然として庭のすみで幹をくねらせているが
当時降っていた細雪を見るすべはない
夕暮れの鐘がかすかに響いてきたが、どこの寺の鐘だろうか
きっと谷崎もかつてこの手すりにもたれて鐘の音を聞いたにちがいない
補足
8月に倚松庵を訪ねたときのことを詠んだ詩です。転句の鐘ですが、西のほうから聞こえてきたのですが、実際のところ、どこの寺の鐘だったのかわかりません。詩としてはわからないほうが好都合です。
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