初夏有作

燕巢怱卒乳黃雛
夜雨晴來新緑殊
未暇惜春春已去
喧喧魚肆賣佳蘇

2018年5月

押韻

上平声七虞韻:雛・殊・蘇

訓読

初夏 作有り

燕巣 怱卒として 黄雛を乳ひ
夜雨 晴れ来たって 新緑 殊なり
未だ春を惜しむ暇あらざるに 春 已に去り
喧喧たる魚肆 佳蘇を売る

怱卒:あわただしいさま
:乳をあたえることから転じて、養う、育てる。
:特別にすぐれている
:「~するひまがある」という動詞
佳蘇:カツオ。柏木如亭《詩本草》「松魚有二。一指葛貲屋(カツオ)・・・・琉球呼爲佳蘇」

初夏にできた詩

ツバメの巣ではあわただしくヒナを育てている
昨夜からの雨が晴れ上がって新緑が格別にすばらしい
まだ春を惜しむ時間もなかったのに、春はもう過ぎ去ってしまい
魚屋では威勢のよい声を響かせてカツオを売っている

補足

春風吟社6月提出の題詠です。初夏らしい風物を盛り込んで無難にまとめました。