下保津峽

避岩掠石又過潯
奔浪盤渦飛沫淋
呉越同舟非所厭
萬邦遊客共浮沈

2018年5月

押韻

下平声十二侵韻:潯・淋・沈

訓読

保津峡を下る

岩を避け 石を掠め 又た潯を過ぎ
奔浪 盤渦 飛沫 淋たり
呉越同舟も 厭ふ所に非ず
万邦の遊客 浮沈を共にせん

保津峽:京都府亀岡市から京都市右京区嵐山の渡月橋に至る保津川(桂川の一部)の峡谷。川下りで有名。

:ふち。水の深いところ。
呉越同舟:敵対する呉と越の人間が同じ船に乗り合わせれば協力せざるを得ないことから、普段敵対している者同士が共通の敵や危機を前にして協力すること。
共浮沈:一般的には盛衰の運命をともにする意味で用いるが、ここでは文字通り船の浮き沈みを共にする意味。

保津峡を下る

保津川を下る船は、岩を避け、石をかすめたかと思うと、深いところを過ぎていく
ほとばしる波やさかまく渦から飛び散ったしぶきがしたたる
いざという時には、呉越同舟よろしく異国の人と協力するのも厭うところではない
世界各国から来た旅行客と浮沈をともにしよう

補足

5月に前職時代の仲間で保津川下りをしたときのことを詠んだ詩です。詩の中で触れているとおり、外国人観光客が多く、船頭さんも英語と中国語をまじえてガイドをしていました。