花時懷郷

紅雲重疊緑堤長
花下羇愁催累觴
仰見紛葩飛去處
迢迢天外是家郷

2018年3月

押韻

下平声七陽韻:長・觴・郷

訓読

花時 郷を懐ふ

紅雲 重畳して 緑堤 長し
花下の羇愁 累觴を催す
紛葩 飛び去る処を仰ぎ見れば
迢迢たる天外 是れ家郷

紅雲:赤い雲。桜などの花が咲き誇るさまのたとえ。
重疊:かさなる
羇愁:旅のうれい。旅愁。
累觴:酒杯をかさねる。何杯も酒を飲む。
紛葩:乱れ散る花びら。
迢迢:はるかに遠いさま

花の季節に故郷をおもう

赤い雲のように桜が咲き誇り、緑の堤が長く続く
花の下でこみあげてきた旅愁にうながされて何杯も酒を飲んでしまう
乱れ散る花びらが飛び去る先を仰ぎ見ると
遥か遠くの空の向こうが故郷なのだとしみじみ感じる

補足

春風吟社4月提出の題詠です。オーソドックスな内容です。