讀新刊詩誌漢詩

上梓恰先花信風
此書及至氣將融
病軀偏愛南窗日
曝背貪看佳句豐

2020年2月

押韻

上平声一東韻:風・融・豐

訓読

新刊詩誌の漢詩を読む

上梓 恰も先んず 花信風
此の書 至るに及んで 気 将に融(やわ)らがんとす
病躯 偏へに愛す 南窓の日
背を曝して貪り看る 佳句 豊かなるを

上梓:書物を出版すること。梓(あずさ)は版木の良材であったことから。
恰:ちょうど
花信風:花のたよりをもたらす風。花をさそって咲かせる春の風。
曝背:日向ぼっこをする

新刊の詩誌の漢詩を読む

花を咲かせる春風が吹くのにちょうど先んじてこの詩誌は出版された
この詩誌が私の手元に届く頃になると気候もやわらぎ春めこうとしている
病中の身なので南向きの窓から差し込む暖かい日がことにありがたい
日向ぼっこをしながらこの詩誌に佳句がたくさんあるのを貪り読むのだ

補足

春風吟社3月提出の題詠です。題詠の詩題としては非常に珍しいものだと思いますが、季節の要素をまじえて、なんとか形にしました。転句に「病軀」とあるのはちょうど風邪を引いたので、そのときの感覚も詠み込んでみました。