謹賦宸題 語

久別親朋談柄多
蓴羹鱸膾促酣歌
停杯獨笑君無怪
堪喜座中語總訛

2017年12月

押韻

下平声五歌韻:多・歌・訛

訓読

謹んで宸題「語」を賦す

久別の親朋 談柄多く
蓴羹 鱸膾 酣歌を促す
杯を停め 独り笑ふも 君 怪しむこと無かれ
喜ぶに堪へたり 座中の語 総て訛するを

宸題:天子の出す詩歌の題。ここでは宮中歌会始のお題。平成30年(2018年)のお題は「語」
親朋:親類や友人。 杜甫《登嶽陽樓》「親朋無一字 老病有孤舟」
談柄:話題
蓴羹鱸膾:蓴菜(ぬなわ)のあつものと鱸(スズキ)のなます。故郷の懐かしい料理のこと。晋の張翰が、故郷の名産であるこれらの料理を食べたいがために、官職を辞して帰郷した故事にもとづく。
酣歌:酒に酔って楽しみ歌うこと
:~するのに十分だ、~することができる、~するにふさわしい
:なまる 西島蘭渓《四月朔日 其五》「都門距此應非遠 已覺郷音往往訛」

つつしんで御題の「語」で詩を作る

長い間合っていなかった親類や友人たちと話題は尽きない
懐かしい故郷の味のおかげで酒も進み歌声もはずむ
ふと杯を持つ手がとまり、独りで笑ってしまったが、どうか怪しまないでくれ
座中飛び交う言葉がすべてなまっていることがうれしくてたまらないのだ

補足

初めて歌会始の御題で詩を作りました。平成30年の御題は「語」ということで、言葉のなまりを題材に詠んでみました。