己丑歳朝偶感

初陽照地報淸曉
古松凌霜閃老鱗
何恨光陰徂不止
日研風節耀心身

2009年01月

押韻

鱗・身:上平声十一真韻.対句のため起句は踏み落とし

訓読

己丑歳朝偶感

初陽 地を照らして 淸曉を報じ
古松 霜を凌いで 老鱗を閃かす
何ぞ恨まん 光陰の徂きて止まらざるを
日々風節を研いて心身を耀かさん

己丑:つちのとうし.平成二十一年.
歳朝:元旦
偶感:ふと感じたこと
初陽:朝日
:松の樹皮.松はしばしば龍に,その樹皮は鱗にたとえられる
風節:風格と気節(気骨)

己丑の年(平成二十一年)元旦感じたこと

朝日が大地を照らして清らかな夜明けを告げ
年を経た松は霜に負けることなく鱗のような樹皮をきらめかせている
時が過ぎ去りとどまることがないことを,どうして恨むことがあるだろうか
日々,風格と気骨をみがいて心身をかがやかそう(あの松のように)

補足

古典詩の世界は陰暦に従うべきだと思いますが,新年だけは新暦でないと気持ちがともなわない感じがします.この詩も新暦の元旦の景色と感慨をよんだものです.